VVVF製作所

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 鉄道車両の電気システム

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電車に搭載される電気システムは、駆動用モーターに電力を供給する主回路以外にも、様々な電気回路が組み合わせられることにより構成されています。
本ページでは、車両に搭載される電気システムの全体構成と役割ごとの分類を示し、それぞれの関係について説明します。

鉄道車両の電気システム構成

鉄道車両の電気システムは、大きく分けて主回路、補助回路、制御回路、附属回路に分類されます。電車を走らせるためには主電動機に電力を供給し駆動する「主回路」だけでは不十分で、コンプレッサーや補助電源装置などの主要設備を動作させる「補助回路」、低圧で動作する制御関係の装置により構成される「制御回路」、客室設備や空調機器などを動作させる「附属回路」も必要になります。それぞれの詳細については、下記の各項目にて示します。


補助回路

補助回路には、架線から得た高圧電源を用いてコンプレッサーやMG、SIVなどの主要機器を動作させる高圧補助回路と、MGやSIVの始動時および運転時における制御を行う低圧補助回路があります。
高圧補助回路に注目すると、パンタグラフにより集電した電気はまず母線可溶器と呼ばれるヒューズを通り、大型のナイフスイッチ(母線開閉器)を介して母線に供給されます。この母線から、高圧補助回路を構成する各機器に電気が送られます。

MGやSIVは補助電源装置と呼ばれ、架線から入力された高圧電源をもとに低圧電源を生成することで、低圧で動作する様々な機器に電気を供給します。
高圧補助回路により駆動する「コンプレッサー」とは、ブレーキやドア開閉などに使用する圧縮空気を作る装置です。空気を圧縮する機構を動作させるモーターには、架線電圧(DC1500V)により直接駆動できるタイプや、補助電源装置により生成した交流電源により動作するものが存在します。


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制御回路

制御回路は、力行やブレーキなどの車両動作に関わる制御信号の伝達や処理を行う役割を持ち、マスコンなどの運転台機器や主制御装置の制御部、ATS・ATCなどの保安装置などから構成されます。
実際の制御回路を構成する要素としては、車両の動作条件を決定するための多数の電磁リレーや気圧スイッチなどが組み合わされており、これらの連携動作によって複雑な機能が実現されています。


附属回路

附属回路は、空調装置や室内灯、案内表示装置など、客室設備やサービス機器などを動作させる回路です。
時代とともに車両走行に欠かせない制御用機器の小型化・簡素化が進む一方で、近年では車内設備として防犯カメラやWi-fi機器などを新たに設けた車両が多数登場しており、附属回路はむしろ複雑化しています。


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