VVVF製作所

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 電車の補助電源装置(MGとSIV)

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電車の電気システムには、架線電圧を低圧に変換して各種電気機器を動作させる電源を生成するために補助電源装置が設けられています。
電車に搭載される低圧機器の動作電圧は車種や機器によって異なりますが、たとえば冷房や暖房装置の電源には三相440V(60Hz)、蛍光灯にはAC100V、制御用リレー回路にはDC100Vなどがの低圧電源が必要となります。

本ページでは、補助電源装置の種類と動作についてまとめます。

補助電源装置の種類

補助電源装置の種類には、MG(電動発電機)やSIV(静止型インバータ)があります。
MGは補助電源装置として古くから用いられている装置で、架線から得た電力をモーターで運動エネルギーに変換して、その運動エネルギーを発電機により必要な電圧・周波数の電気エネルギーに変換します。 パワーエレクトロニクス技術の発達に伴い、効率やメンテナンスの面で優れたSIV(静止型インバータ)が登場するまでは広く用いられました。MGは「Motor Generator」の略称で、電動発電機ともいいます。

SIVは、架線から得た電気を半導体素子でスイッチングすることで、必要な電圧、周波数の交流波形に変換するインバータ装置です。SIVという名称は「Static Inverter」からきており、静止型インバータとも呼ばれます。


MGの種類と構造(電動発電機)

BLMG(CLG-703型)東武8000系用 ブラシレスMG(CLG-703型) MGとは電力変換装置の一種で、モーターと発電機を組み合わせられたものです。架線電圧を低圧に変換する場合には、架線電圧で動作するモーターによって出力電圧が低い特性の発電機を回転させることで低圧電源を得られます。
直流モーターと発電機のタイプ(交流機/直流機)の組み合わせによって、電圧の変換だけでなく直流―直流変換、直流―交流変換、交流―直流変換、交流―交流変換が可能で、古くから補助電源装置として用いられてきました。
MGは1980年代頃までに製造された車両に広く用いられてきましたが、機械機構を介して電力を変換しているため、効率の低さやメンテナンスの面で難がありました。
後述のSIVが登場する以前には、従来型MGの直流モーター部を交流モーターとスイッチング回路に置き換えることで、ブラシ交換が不要なブラシレスMGも製造されました。



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SIVの種類と構造(静止型インバータ)

SIVは半導体素子を用いたスイッチングにより、架線電圧を低圧電源に変換します。SIVの種類には回路やシステムの構成によって、2レベルインバータ、3レベルインバータ、待機2重系SIV、デュアルモードSIVなどがあります。


2レベルインバータ方式

2レベルSIVは最もシンプルな構成で、Hブリッジ回路を構成する4つの素子をスイッチングすることで交流波形を生成します。PWM変調により、正弦波状に出力します。


3レベルインバータ方式

3レベルSIVでは、2レベル式と比べて出力電圧レベルを多段化することでより正弦波に近く歪が少ない波形を生成します。回路は複雑になりますが、低騒音化や効率面で有利になります。


待機2重系

待機2重系としたSIVでは、通常運転時には2つのインバータのうち片方を動作させ、故障時には他方のインバータに切り換えます。
この方式を採ることで片方のシステムが故障した場合でも車両電源を確保可能となり、車両故障による本線支障を未然に防止します。


整流装置

SIVが生成する低圧電源は交流のため、制御用の直流電源を得るために整流装置で変換します。


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