エアーブレーキ対応型マスコンハンドルの自作方法
本物の電車に限りなく近い構造の、エアーブレーキ対応型マスコンを製作しました。マスコンキーを投入することで操作可能となります。
自作するマスコンハンドルの仕様
5インチゲージに取り付けて実用するため、安全面を考慮し右手をフリーにできる左手操作式ワンハンドルマスコンとします。主ハンドルを操作することで、力行3段、切位置、常用ブレーキ3段、非常ブレーキ1段を切り換えられる仕様です。
車両には小型のレシプロ式コンプレッサーと空気ダメを設け、自作のブレーキ制御装置にマスコンからブレーキ指令を送ることで、ブレーキ管の圧力を変化させて制動力を調整します。
フェールセーフ構造とするため、ブレーキ指令線の断線やバッテリー残量低下により車両電源が途絶えた場合には直ちに非常ブレーキがかかる構造とし、列車の暴走を防ぎます。
ハンドルを力行位置にした場合には、カム軸式抵抗制御装置に力行指令を送ります。力行1段の場合には全抵抗で起動し、限流値制御は行いません。
力行2段の場合、主制御装置の中間段まで限流値制御により自動進段を行い、所定の段数まで主抵抗器を切り替えたらその状態を保持します。
力行3段の場合、最終段まで限流値制御を行い、主抵抗器の短絡を終えたらその状態を保持します。
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マスコンハンドルの設計
CADソフトでマスコンハンドルをモデリングします。まず、マスコンキーを投入することで逆転ハンドルを操作可能となるように、逆転ハンドルをロックする機構を作ります。
キーを差し込んで筒状の部品を回転させることで逆転ハンドルの切り欠きに差し込まれていた板が外れ、逆転ハンドルを「前進」~「後進」位置に切り換えられるようになります。
次に、逆転ハンドルの位置条件によって主ハンドルの操作可否を切り替えるロック機構を設けます。
逆転ハンドルの位置が「前進」または「後進」のとき、主ハンドルを操作して力行またはブレーキ力の調整を可能とし、逆転ハンドルが「切」位置の時には主ハンドルが「非常」位置で固定される必要があります。
この操作の制約をメカニカルに実現するため、逆転ハンドルのカムにバネの力で摺動するコマを設け、逆転ハンドルの位置によってコマの位置が変化するようにしました。
逆転ハンドルの位置が「前進」または「後進」の場合にのみ、このコマの突起が隣接する主ハンドルの切り欠きに入り込むことで、主ハンドルを操作可能となります。
力行指令とブレーキ指令のための電気接点の切り替えは、マイクロスイッチを主ハンドルのカムで切り替えることで実現します。 別途自作したブレーキ制御装置とカム軸式抵抗制御装置の仕様に合わせて、マイクロスイッチの開閉条件を決定し主ハンドルのカムを設計しました。
ブレーキ指令用の遅延回路
ブレーキ制御システムの仕様に合わせ、ブレーキを緩解する場合に電磁弁の応答を遅延させる回路をマスコンハンドルに設けます。
ブレーキシステムの構成上、予めブレーキシリンダにブレーキ圧が込められた状態で弱いブレーキ指令に切り換える場合、ごく短い時間ブレーキシリンダ内のエアーを排気する必要があります。
この機能を実現するため、単純なCR直列回路とANDロジックICを用いて遅延回路を製作しました。ブレーキ指令を強める場合には電磁弁の切り替え動作を遅延させる必要がないため、ブレーキ指令が弱まったときにのみ遅延回路が機能するように構成しています。
マスコンハンドル製作過程の動画はこちら