VVVF製作所

VVVF製作所


抵抗制御の電車が加速するしくみ

TOP > 電車の仕組み >抵抗制御

抵抗制御電車の主回路

抵抗制御電車の主回路 抵抗制御電車の主回路は、このようになっています。加速時には抵抗器を徐々に短絡することで、モータに印加する電圧を上げて加速していきます。加速中は、抵抗器でエネルギーの一部を熱に変換するため、エネルギーの損失が大きいです。
運転士が操作するマスコンハンドルからは、主制御装置に限流指令値を与えます。主制御装置は電流センサーから得られる電流値と限流指令値を比較し、電流が小さい場合は主回路の抵抗を小さくすることで、ほぼ一定のトルクで加速することができます。抵抗器を切り替える際にはトルク変動が生じてしまうため、空転や前後衝動による乗り心地の悪化につながります。
抵抗制御電車の乗り心地を改善する手法として、抵抗を切り替える段数を多くすることでトルク変動を抑える「バーニア抵抗制御」があり、東武8000系などに採用されています。


主抵抗器の切り替え方式

 これまでに説明した通り、抵抗制御方式の電車を加速させる際にはモーターと直列に接続された主抵抗器を切り替えます。主抵抗器の切り替え方式にはいくつかの種類があり、運転士のハンドル操作によりダイレクトに主回路の接点を切り替える直接制御方式、単位スイッチ方式、電動カム軸式があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。


直接制御方式による主抵抗器の切り替え

 直接制御方式では運転士のハンドル操作により、主回路を切り替えるカムスイッチを直接的に切り替えます。力行時に運転士が操作する装置は「直接制御器」または「ダイレクトコントローラ」と呼ばれ、機器構成上マスコンハンドルとは異なります。この方式は構造がいたってシンプルですが、運転士のすぐそばに高電圧の主回路配線が通ることになり絶縁性の確保が重要です。また、大容量スイッチを手動で切り替えることになるため、ハンドルが大型となり操作が重くなります。さらに、一台のハンドルで切り替えられる電流には限界があるため、高出力モーターの制御や複数の電動車を同時制御する用途には向かず、長大編成には適しません。
以上の特徴をもつことから、モーターの出力が小さく単行運転を行う路面電車などに採用されました。
この方式では、運転士が電流計や速度計などで加速の具合を確認しながら進段するかどうか判断し、主抵抗器を切り替えることで電車を制御します。


長大編成に適した総括制御

動力分散方式の長い電車を運転士が一人で制御するには、運転士が操作するマスコンハンドル(主幹制御器)から各電動車に搭載されている主制御器に指令を与えることで、編成全体を同時に制御できるようにシステムを構成する必要があります。このような方式を総括制御といいます。
マスコンハンドルから主制御器に伝達するのは主回路電流と比べてごく小さい信号電流となり、取り扱う電圧も低いため、直接制御方式のハンドルと比べてマスコンハンドルは小ぶりです。
電動車の床下に取り付けられた主制御器は、マスコンハンドルから伝えられた指令値をもとに主回路接点の切り替えを行うことで、主電動機に流れる電流を調節します。

電動カム軸式抵抗制御のしくみ

 電動カム軸式抵抗制御は、電動車の床下に取り付けられた主制御器内のカム軸を電動モーターで回転させ、主回路接点を切り替えることで進段する方式です。主制御器が進段するかどうかの判断は、マスコンハンドルによる指令値や限流継電器などの状態をもとに自動で行います。進段する場合はカムモーターを回転させて主抵抗器の抵抗値を小さくすることで、主回路電流を増やします。
現在活躍している抵抗制御電車のほとんどはこの方式を採用しています。


inserted by FC2 system