VVVF製作所

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VVVFインバータ制御のしくみ

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VVVFインバーターとは

VVVFインバータとは、交流モータを可変速制御するために用いられる電力変換装置です。
交流モータの出力トルクを制御して車両をスムーズに加速させるには、低速回転時にはモータに入力する電圧・周波数を低くしておき、速度上昇とともに電圧・周波数を上げていく必要があります。
「VVVF」というのは、可変電圧可変周波数制御を英語表記した"Variable Voltage Variable Frequency"の頭文字からきています。


VVVF車が加速・減速するときに独特な音が鳴る理由

VVVFインバータ方式の電車が加減速する際には、独特な電子音が聞こえます。なぜこのような音が鳴るのか不思議に感じる方も多いのではないでしょうか。
この音の正体は、VVVFインバータ装置が直流を交流に切り換える際のスイッチングノイズがインバータの出力電流に重畳し、モータ機構部が変形・振動してスピーカのように音として発したものです。
インバータ装置が交流を出力する方法として、正弦波状の変調波と搬送波(キャリア)を比較することで通流率を調整するPWM(Pulse Width Modulation)方式が用いられており、励磁音の聞こえ方はPWM変調時のキャリア周波数の変化パターンによって大きく異なります。
励磁音のパターンには、VVVFインバータ装置のメーカや車種によって様々なバリエーションがあり、愛好家から「ドレミファインバータ」、「墜落インバータ」などと呼ばれ親しまれているものもあります。


VVVFインバータの変調方式 非同期モードと同期モードの違い

VVVFインバータにより交流を生成する際のパルス出力方法は、出力周波数や架線電圧の条件に応じて切り替えられます。大きく分けると非同期モードと同期モードに分類されます。
同期モードでは、インバータ出力周波数とキャリア周波数が整数倍の関係で、インバータ出力周波数が上昇するとキャリア周波数も連動して上昇します。素子のスイッチング速度には上限があるため、速度上昇に伴いスイッチング速度の上限値に近づくと出力正弦波1周期あたりのスイッチング回数を減らした状態にして、改めてインバータ出力周波数の上昇に連動してキャリア周波数を上げていきます。
非同期モードでは、インバータ出力周波数とキャリア周波数を個別に設定可能です。ドレミファインバータや墜落インバータの特徴的な音は、どちらも非同期モード領域で鳴っています。非同期モードは主に低速域を中心に適用されます。


VVVFインバーター制御電車の主回路

VVVFインバーター制御電車の主回路 VVVFインバータ装置により駆動する電車の主回路はこちらのようになっています。三相誘導モーター(IM:Induction Motor)や永久磁石同期モーター(PMSM:Permanent Magnet Synchronous Motor)に印加する三相交流電圧や周波数を調整することで、モーターの出力トルクを制御します。

三相誘導モーターや永久磁石同期モーターはブラシレス構造のため、従来から鉄道用主電動機として用いられてきた直流モーターと比較すると、カーボンブラシの交換作業が不要となるメリットがあります。また、ブラシ・コミテータが不要となりトルク発生に寄与しないスペースを省略できるため、単位体積当たりの出力トルク(=トルク密度)を向上させられます。パワー半導体の開発や低価格化により1980年代頃から鉄道用VVVFインバータが実用化され、近年製造される新型電車の制御にはVVVFインバータ方式が採用されています。


スイッチング素子の変遷

鉄道車両の主制御装置としてVVVFインバータが普及し始めた1980年代頃は、スイッチング素子としてGTO(Gate Turn-Off thyristor)が主流となっていました。当時としては耐圧性に優れ大電流に対応できるうえ、ゲート・カソード間に負電圧を印加することでターンオフできる特徴があり、大容量インバータに適しているため鉄道分野のみならずパワーエレクトロニクス分野で広く採用されました。

1990年代後半になると、IGBT(Insulated Gate Bipoler Transister)が鉄道車両向けインバータに適用できる耐圧性能を持つようになり、GTOと比べて高速スイッチングによる騒音の低減・パワー素子ドライブ時における消費電力の低減を実現できることから、VVVFインバータ用スイッチング素子の主流になりました。


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