VVVF製作所

VVVF製作所


電機子チョッパ制御のしくみ

TOP > 電車の仕組み >電機子チョッパ制御

電機子チョッパ制御とは何か

電機子チョッパ制御とは電車の主電動機を制御する方式の一種で、チョッパ装置により主回路電流をスイッチングすることでモータの出力トルクを制御します。
制御対象となるモータの電機子巻線に流れる電流をチョッパ回路により調整するもので、主回路チョッパと呼ばれる場合もあります。
JR西日本 大和路線 201系 電機子チョッパ装置 力行時には降圧チョッパ回路を構成し、PWM制御により主回路の通流率を調整することでモータに印加する電圧を0Vから架線電圧まで変化させながら加速します。
制動時には主回路の構成を昇圧チョッパ回路に組み替え、主電動機の起電力を昇圧して架線に戻すことで他の車両が力行する際に電力を有効利用できるようになっています。


電機子チョッパ制御の登場背景 メリットとデメリット

従来の抵抗制御方式ではモータと直列接続された主抵抗器を順次短絡することでモータのトルク制御を行っていましたが、主抵抗器で電力の一部を熱に変換するため損失が大きいのが欠点でした。また、地下鉄用車両では主抵抗器の排熱がトンネル内の温度上昇につながり対策が求められていました。
東京メトロ 半蔵門線 8000系 電機子チョッパ装置(AVFチョッパ) 半導体技術の発達に伴い電鉄用モータ制御に適用可能な高耐圧・大容量が登場すると、1970年代にはサイリスタを用いたチョッパ装置を用いて主回路のON/OFFを高速で切り替えることでトルク制御を行う「電機子チョッパ方式」の車両が実用化されました。
電機子チョッパ制御を採用すると、力行時の損失低減、回生ブレーキによる電力の有効利用、機械式接点の削減によるメンテナンスの省力化、電流制御精度の向上に伴う粘着性能改善といった様々なメリットがあります。
しかし、電機子チョッパ方式では車両製造コストが高価となるデメリットもあり、電機子チョッパ方式が採用されたのはトンネル内温度の上昇を抑える必要があった地下鉄用車両が中心です。


電機子チョッパ制御電車の主回路

電機子チョッパ制御電車の力行時の主回路 電機子チョッパ制御により駆動する電車の主回路は、こちらのようになっています。この図は力行時(加速時)の構成で、架線からパンタグラフを介して得られる直流電圧を降圧チョッパにより低い電圧に変換し、モーターに流れる電流を調整します。一般的には、主電動機として直流直巻モーターが使用されます。


広告


電機子チョッパ制御電車の回生時の主回路 電機子チョッパ制御の、回生ブレーキ動作時の構成はこのようになります。スイッチの切替により昇圧チョッパ回路が構成され、モーターが発電した電圧を架線電圧より高くなるように昇圧することで、電流がモーターから架線に逆流し、ブレーキ力を得られます。

回生ブレーキにより発電した電力は、他の電車の力行時などに再利用されるため、省エネルギー効果が高い方法です。ただし、回生時に負荷がない場合は回生ブレーキが効かないため、効率的に回生電力を活用できるようにダイヤを作成したり、駅や鉄道施設の電気システムに接続するなど、工夫がなされています。


inserted by FC2 system