CADで作る鉄道模型(東武8000系 その14)
家庭用3Dプリンターを用いて、独自設計の鉄道模型を作ってみました。プロトタイプは東武博物館が動態保存している東武8000系の8111Fで、縮尺は1/45(Oゲージ)です。車体はCAD(Design Spark Mechanical)でモデリングしました。3Dプリンターで造形し、下地処理が完了しましたので、次は塗装を行います。
3Dプリンターで造形した鉄道模型の塗装
前回、3Dプリンターで造形した鉄道模型(東武8000系)のパテ盛りを行い、ヤスリ掛けとサーフェイサーの吹き付けにより、模型の表面を平滑化して塗装の準備を行いました。家庭用3Dプリンターは積層ピッチが粗いため、美しく仕上げるためには塗装前の下地処理が重要です。今回は、いよいよ塗装作業を行います。 プロトタイプの東武8000系は、昭和38年に登場して以来、時期によってカラーリングが変更されています。デビュー当時はインターナショナルオレンジとロイヤルベージュのツートンカラーでした。その後、塗装の省力化のため1974年頃からセイジクリーム一色の塗装に変更されています。1985年からは順次、ジャスミンホワイトの車体にロイヤルブルーとリフレッシュブルーの帯を入れた現行塗装になりました。今回は、2018年現在の8111Fを再現するため、セイジクリーム塗装とします。
セイジクリーム塗装を行うために使用する缶スプレーはこちらです。 グリーンマックスが発売しているGMカラー(No.24)の「西武アイボリー」を使用します。「クロスポイント」のブランドで、セイジクリームのスプレーも存在しますが、入手できなかったためこちらで代用します。西武アイボリーのほうが、セイジクリームよりも若干白っぽいようですが、大差はありません。
では、いよいよスプレー缶で、車体を塗装します! 無事にセイジクリーム一色になりました。単色でそっけない感じですが、細部に色差しを行うことで引き締めていきます。東武8000系原型顔の前面窓は、黒いHゴムで支持されているので、面相筆を用いて色差しを行います。
Hゴムの色差しにはタミヤのエナメル塗料「フラットブラック」を使用しました。このようなゴム素材の再現をする場合は、光沢なしの塗料を選ぶと実感的になります。また、車体はアクリルスプレーで塗装しているため、色差しにはエナメル塗料を用いることで、はみ出してしまった場合も溶剤を使用してふき取ることができます。
次は、屋根と屋上機器の塗装です。 屋根の塗装には、マスキングを行ってからGMカラー9番「ねずみ色1号」を使用し、ベンチレータとクーラーの塗装にはGMカラー14番「灰色9号」を用いました。ブーメラン型の列車無線アンテナは、タミヤ製エナメル塗料で筆塗しています。台座は「ニュートラルグレー」、上部は「ミディアムブルー」で塗りました。
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最後に、ヘッドライトのリムを銀色に塗装します。 ライト回りの塗装には、タミヤのエナメル塗料「クロームシルバー」を用いました。少し色入れをしただけですが、かなり引き締まったのではないでしょうか。細部のパーツを再現すれば、もっとリアルになりそうです。
正面と斜め上から撮影してみました。設計通りの形状を再現できて、満足の出来です。こんど東武8000系を造形する際には、貫通扉の取っ手や渡り板、サボ受け、通風孔、ジャンパ栓台座を再現してみようと思います。ステップを再現するなら真鍮線を曲げたほうが良さそうですね。 ただ、細部の作りこみを行う場合は造形物に凹凸が増えるので、パテ盛りとヤスリ掛けの工程で邪魔になります。実際の工程を考慮しながら、別パーツとして出力したり、極力積層痕を作らないような工夫が必要です。もっとも、高精細な3Dプリンターが安価に手に入ればこの問題は解決しますが、限られた道具や環境の中で、創意工夫しながら作り上げるのも、模型作りの楽しみの一つかもしれません(笑)
側面パーツの細部にも色差しを行いました。乗務員室扉と、側扉の下部にある、ステンレス製の靴摺りと、側面窓のアルミサッシ、ドア窓の押さえを面相筆で塗装しています。
次回は、床下パーツのモデリングを行います!
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